先輩の彼女にしてもらいました
「そんなことないよ」

「また陸上部入ればいいのに」

「え?どうして私が陸上やってたのがわかったの?」

先輩にそんな話はしたことがないから不思議だった。

「いつも逃げ足が速かったから」

「え?」

「いや、なんでもない」

意味ありげな含み笑いをした先輩は、鞄を拾いあげて鍵をさがしている。

「ここ先輩のおうち?」

「そー、俺んちここ。岳んちが3軒隣りで、桜が向かいでって、あー鍵あったあった」

先輩のおうちは、白を基調とした洋風のオシャレな二階建ての大きなお屋敷だった。

家というより、お屋敷と呼ぶに相応しいお宅に、ちょっと気後れてしてしまう。

そういえば周りは、高級住宅街のようで大きなお屋敷ばかりだった。

「あの、あの先輩、私、いきなりお宅にお邪魔したら迷惑じゃないかな」

やっぱり、いきなり先輩のおうちに行くなんて躊躇してしまう。

「大丈夫、大丈夫、誰もいないから」

「え?」

それじゃあ、先輩と2人きり?ちょっとそれは余計に入りにくいよ。

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