はつ恋の君をさがしてる
「それじゃぁまぁ、知ってる顔もいるとは思うが改めて紹介しょう。」
平原さんがそう言って最初に紹介してくれたのは、やはり奧さま。
「となりが、妻の真紀子。我が家には無くてはならない人だよ。怒らせるとかなり怖いから気をつけてね!でその横は長男の高成のお嫁さんのすみれさん。抱いているのが孫の高明。」
「は、はじめまして。澤田鈴加です。昔から平原さんにはお世話になってます。」

私も改めてちゃんと挨拶をしたわけだけれど、ついつい緊張でおろおろしてしまう。

「はじめまして真紀子です。主に怖い目にあってるのは高臣さんだから気にしないでね♪」
「私もはじめましてですね、あきちゃんにケープを編んでくださったのにお礼が遅れてしまって、ありがとうございました。」

真紀子さんは優しい笑顔でゆっくり話すおしとやかな美人。
すみれさんはママさんとは思えない位にすらりとして凛とした美人。
どちらも私とは天と地くらいにちがう。
なんだか物凄く場違いなところにいる気がして不安になってきた……。
だけどニマッと笑った高明くんに見つめられたら、ついついこちらも頬がゆるむ。

「それから、向こうにいるのが長男の高成と三男でひよっこ税理士の穂高だ。高成には会ってるよね?」
「はい。引っ越しでもお世話になりましたし。」
「鈴加さんにまた会えて嬉しいですよ。高嶺が迷惑かけてるんじゃないかな?困ってる事があったらいつでも言ってくださいね?」
高成さんがさわやかな笑顔で私にそう言いながら高嶺さんをギロリとにらむように見る。
「ちょっと!ちょっと!会ったことあるなら、先に挨拶させてよ兄貴!」
そう言いながら視界に割り込むように顔を近づけてきたのが三男の穂高さんだ……

「はじめまして!さっきは玄関で失礼しました穂高です!ひよっこ税理士じゃなくてちゃんと税理士です!独身彼女絶賛募集中です!わりと優良物件です!」

そう言いながら興奮したようにどんどん近づいてくるので思わず高嶺さんの方に逃げる。
すると……スパーンと軽快な音がした。
驚いて見ると穂高さんが高成さんの手にしたスリッパで後頭部を叩かれ、さらに高嶺さんのデコピンではね飛ばされていた……。

「いってーなぁ!暴力は断固反対!父さん!兄貴達が虐める!」
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