はつ恋の君をさがしてる
「鈴加?やけにぼーっとしてるが、大丈夫か?体調でも悪いんじゃないか?」
「えっ?」

不意に声をかけられてあわてて顔をあげると目の前には渋い顔をした高嶺さんがいた。
周りを見回してそこがいつもの中華料理店だと気付いてびっくりする。

あれ?私…いつの間に?

テーブルに視線をやれば大好きな唐揚げが山盛りになった皿と野菜がたっぷりの焼きそばが並んでいる。

「鈴加?どうした?」

心配そうな高嶺さんの大きな手が私の頬に伸びてきてゆっくり撫でるようにしてから離れていく。
思わずその手を自分の右手が捕まえていた……。

「なんだよ?本当にどうしたんだ?食欲ないのか?帰るか?」

私が掴んだ手をそのままにして店員に声をかけようとする高嶺さんをあわてて引き留める。

「ごめんなさい。本当にぼーっとしてた!ぼーっとしすぎてお店にいることにびっくりしちゃって、でもお腹は空いてるから食べようよ!」

私の言葉になんだそれ?なんて言いながら高嶺さんは私の手から自分の手を引き抜いて食事を再開する。
私も負けじと唐揚げに箸を伸ばした。

時間は少し巻き戻る。

その日は土曜日で、私も高嶺さんも久しぶりに休みが同じになって、二人ともおもいっきり朝寝坊した後に散歩がてら町歩きをしてお気に入りの中華料理店でランチをする事に前日から決めていた。

なのに、日頃の習慣で私はいつもの6時過ぎに目を覚ましてしまった。
寝直そうにも眠気はすっかり消し飛んでいたので、こっそり起きて朝食の支度をしたり洗濯をしたりしてしまったのだが、予定通り10時過ぎまで寝ていた高嶺さんはそれが気に入らなかったらしい……
むすっとふて腐れた顔でモサモサと私の作ったサンドイッチを咀嚼しながら、約束したよな?と睨み付けてくる。
私は焦りながらも睡眠はちゃんととりました!と必死で主張したのである。
それでなんとか納得してくれた高嶺さんだったが、朝食を食べ終わった頃に急に真面目な顔付きになって話始めた。
< 179 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop