はつ恋の君をさがしてる
「鈴加さん?どうしたの?何かわらないことでもあった?」
「えっ?あ……すみません。ちょっと考え事しててぼーっとしてましたか?」

松永さんにすぐ隣からのぞきこまれてあわてて返事をかえす。

「うん。なんか固まったまま動かなかったから心配しちゃった」

しまった!
ついつい高嶺さんの意味深発言を思い出してぐるぐる考えてしまっていた。
仕事中なのに……。

「すみません!仕事中に何してるんだろう私……本当にすみません。


必死で謝りはじめた私を、松永さんは笑顔で止めると逆にどんな考え事なの?と優しく問いかけてくれる。
どうしよう……プロポーズされて悩んでるなんて聞かせていい話なのかな?
しばし躊躇したものの、私は思いきって相談してみることにした。
私よりも年上で見るからに大人な女性だけど可愛いところもあって話上手な松永さんなら、いいアドバイスが貰えるかも?と考えたのだ。

さっと事務室内を見渡すも在室しているのは私達二人だけ。
それを確認したあとに松永さんに向き直ると、簡単に高嶺さんとの同居について説明する。

「そうなのね~突然アパート出ることになってさらに知らない男性と結婚前提のお試し同居かぁ~鈴加さんなかなか波瀾万丈で楽しそうな生活してたのね~それで?何が問題になってるの?」

さらっと要約しちゃうところはさすが人材育成の『クイーン!』
更に興味津々なワクワクとした表情で詰め寄られて思わずイスごと後ずさる私に、笑顔で先を促す。

ちなみに松永さんが育成の『クイーン』と陰で呼ばれ、早川さんは『王子さま』、加賀山さんは『キング』と呼ばれているらしい……と人材育成に馴染みはじめた頃に芽衣子に聞いた。
産休に入った逢坂主任は『女皇帝』

私にもいつかそんな光栄な2つ名が付いたりするのかな?

っと!いかん。
クイーンの目が怖い……

話を先週末のいきなりのプロポーズまで進める。
いきなり過ぎてどうしたら良いのかわからなくて日曜日に悩みすぎてちょっと発熱した話までしてしまった……。

「なるほどねぇ~悩み過ぎて知恵熱だしたんだなぁ~可愛いなぁ鈴加ちゃんは!」

「ふへぇ?」

後方から突然声をかけられて変な声を上げながら2センチは飛び上がった気がする。
焦りながら振り向くとニコニコ顔の加賀山さんと苦笑いですまなそうな顔の早川さんが立っていた……。
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