はつ恋の君をさがしてる
気が付いたら朝だった……。

目を開けたら見慣れない天井でちょっと違和感を感じる。

そっか……高嶺さんのマンションに引っ越したんだった。

私はそっと起きあがって枕元の時計を確認する。
時間は5時を過ぎたところだった。

朝食作らなくちゃ!
あわてて着替えてリビングに行く。

とても静かで不安になり、高嶺さんの寝室前まで戻ってしまう。
もう、いないのかな?

扉に耳を押し当てて中を伺うと、わずかに衣擦れの音がしてほっとしてキッチンに戻った。

冷蔵庫の中には色々詰まっていて、卵とベーコン、キャベツ、ニンジンを取り出す。
ベーコンとキャベツは軽く炒めて塩コショウ。
卵は目玉焼きにしてみた。
それからりんごをむいて、ロールパンを用意すると、それらを普段から使っているお気に入りの横長のお皿にすべて盛り付ける。
ワンプレートにするのは忙しい朝に少しでも時短するための工夫。

同時進行で刻んだニンジンとキャベツのコンソメスープも作った。
仕上げにお醤油をちょっとだけ入れるのが祖母と母のおふくろの味ってやつだ。
祖母から習ってからはずっとそうしている。
それから高嶺さんの家のコーヒーメーカーでコーヒーも入れた。

出来上がってちょっと困る。
高嶺さんは何時に起きてくるんだろう?
昨日聞いておくんだった……。

ガチャ!

不意にリビングのドアが開く音がして弾かれたように顔をあげる。

「おはよう。」

そこには起き抜けで寝ぐせがついたままの高嶺さんが立っていた。

グレーのTシャツにジャージ素材のズボン。
そして寝ぐせで跳ねた髪。
なんか……普通のおっちゃんだなぁ~

ついつい可笑しくなって笑ってしまう。
いつものキリッとしたイメージの高嶺さんの姿と違いすぎて……なんかほっとした。

「なんだよ?お前!朝から笑うなよ?あ!俺が普通におっちゃんだとか思ってるだろ?当たり前だ!もう33のおっさんだからなぁ~普段はこんなだから……これも慣れろよ?」

高嶺さんはそう言いながらニャッと笑う。
笑い顔はいつもと一緒。

どんな格好でも高嶺さんは高嶺さんだった。
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