眩しさの中、最初で最後の恋をした。
ドーナツ屋さんで、それぞれ好きなドーナツ二つと私はカフェオレ、日菜子はコーヒーを頼んで席に着いた。
「今日は買い物に付き合ってくれてありがとうね」
にっこり笑って日菜子は続けざまに言った。
「明日はダブルデートだからね!有紗もしっかり今日の服で可愛くしてくるのよ!」
ビシッという音がしそうなくらい、腕を振って言う日菜子はなんだか有無を言わせる隙が無い。
もともとハッキリしているけれど。
何となく、その方向性を掴んだ私は、ずるいけどその話題からは逸らすことにする。
「久しぶりの遠出だからね。綺麗にはして行くよ。どんな生き物が居るのかな。今からすごく楽しみ!」
私が満面の笑みでそう言うと、日菜子は少しガックリしている。
ごめんね、日菜子……。
私は日菜子の話を聞くことは出来るけど、自分の恋については話せない。
いや、話す話題が無いから……。
きっと日菜子は私の話も聞きたいんだろう……。
それは度々感じてきたこと……。
でも、私は決めてるの。
恋はしないって……。
それを人に話すこともしない。
だから、私は気づいていてもそこには触れずに、笑顔を浮かべて避けて通る。
私には、気にし続けているリミットが迫っているから……。