眩しさの中、最初で最後の恋をした。
side 要

明日は日菜子と蒼、有紗と一緒に水族館へ行く事になった。

前日の今日、俺は何故か蒼に呼び出されて現在駅ビルに居る。
確か、昨日日菜子と有紗も買い物に行くと言っていたような……。

「蒼、もしかしてストーカー?」

「んな訳あるか!俺は日菜子が選んだ服に合うものをと思って!」

肩にポンと手を置きつつ、俺は首を横に振って言った。

「気持ちは分かるが、行動はストーカーと変わらんぞ?」

ちょっとショック顔をした蒼だが、俺も実は有紗がどんな服を選ぶのか気になる。

制服姿以外を見た事がないから、気になる。
それに、有紗は時々遠くを見てる。
その姿を見ると、いつか急に居なくなってしまいそうな。

そんな気配を感じて俺は不安になる。

この春初めて出会って、少しづつ仲良くなって……。
俺は有紗に好意を持つようになった。
優しく、思いやりがあり気遣いのできる有紗。
いつも楽しそうに笑っているけれど、ふとした時に有紗が遠い目になるのを気にしていた。

きっと蒼や日菜子は気付いていない。

それでも、きっと明日は有紗も笑顔が絶えないと思うからそんな有紗の隣で俺も楽しめる様に。

今日は仕方ない蒼に付き合う事にした。
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