眩しさの中、最初で最後の恋をした。

「ありがとう。でも、このアレンジも可愛いシュシュやらゴムやらあってこそだからね。女子はみんな可愛いものに目がないよね」

茜の言葉に、私と日菜子含め周りの女子みんなが頷いていた。
可愛いは正義である。
そうして話しているうちに、まず日菜子が出る二人三脚への出場選手の呼び出しがかかり、出る子達が移動して行った。

「水木くんと松島くんは、短距離走も出るの?」

今グラウンドで始まったのは、男子100m走だ。

「うん、うちのクラス体力テストの結果で競技に選出されてて。ほら、ふたりは大体どの項目も出来が良いから避けられなかったみたいでね」

私が濁しつつ言うと、茜も察したらしい。

「あぁ。三浦っちが担任だし、ふたりは逃げらんないか……」
「そういう事」

うちのクラスの担任の三浦先生は、こういった行事に熱心を通り越して熱血である。
勝ちに行く気満々でメンバーを集め決めていたので、蒼くんと要くん、日菜子など運動神経のいい体育会系メンバーは出場枠にどんどん入れられてしまった感じだ。

「それは、運動部関連の生徒は不幸だったわね」

苦笑いで言う茜はインドア派だから、出るのは女子全員参加の棒引きだけらしい。

日菜子はそれに綱引き、二人三脚、リレーだから出るのが多い。
蒼くんと要くんも短距離走、障害物競走、リレー、騎馬戦なのだから。

私はそろそろ走り出すふたりの応援に席を立った。
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