初恋の君と、最後の恋を。

先輩は立ち止まって、私を見る。

いつものように優しい笑みを浮かべて。



「ありがとう」



答えもいつもと同じ。

言われ慣れているだけあって動じるどころか、彼にとっては挨拶程度のことなのだと思う。


私の心臓はこんなにも高鳴っているのにね。


ありがとうは、時に残酷だ。




「大好きです」


「うん」


「ほら明日は土曜で2日も会えないじゃないですか。だから、休日の分も言っておきます」


「数の問題?」


目尻を下げてにこりと笑う。

うん、やっぱり笑った優しい顔が好き。



「あなたが大好きなんです」



これは日曜の分。


叶わない思いを口にしたところで何も変わらないけれど、後悔だけはしたくない。

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