初恋の君と、最後の恋を。
足を数回、蹴られた。
怪我していることを知っているのだろう。
卑怯だな。
笑いながら去って行く3年の先輩方は何が楽しくて、人を傷付けるのだろう。
「はあ」
雅美に電話をして肩を貸してもらおう。
良かった、放課後で。
汚い…
土まみれの上履きを見てやるせない気持ちになる。上手くいかないことばかりだな。
携帯をポケットから取り出すと、画面に影ができた。
顔を上げると、
会いたいけれど、今は会いたくない人が無表情で私を見下ろしていた。
「君は無茶ばかりだね」
しかしその声には、少し前まではあたりまえのように聞いていた優しい響きが込められていた。