初恋の君と、最後の恋を。
「それで良いの?確かに一緒に居れる時間は長い方が良いけど、同じ大学を目指す必要はないよ。俺、大学に入ったら親戚の家を出るつもりで居るから」
「引っ越しするんですか?」
「うん。君と会いやすい場所に、引っ越すことを考えてるよ。だから俺たちのことは心配しなくていい。菜子のやりたいことをして」
春からの生活に、きちんと私のことを考えてくれているんだ。
私と一緒にいる時間を作ろうとしてくれている。
「でも東桜に入れたら両親も喜ぶでしょうし、高望だかこそ目指す意味もあると思うので!頑張ってみます!」
挑戦してみたい。
今まで散々、勉強ができないことに苦しんできたけれど逃げずに立ち向かいたい。
頑張った先に黒瀬先輩と同じキャンパスライフが送れるというご褒美があるのなら、尚更モチベーションも上がるんだよね。
「そっか。それなら力になる」
「私、成績悪くて教科書を破るくらいの馬鹿ですけど、大丈夫ですか?」
「もうそんなことはさせないよ。ひとりで悩まなくて良いから」
優しい微笑み。
この人の隣りに在れれば、私は何者にもなれる気がする。
勇気が出る。
「先輩、本当にかっこいいです…」
「急になに?」
クスクスと笑ってくれる。
黒瀬先輩が私のことだけを見てくれるから、もう周囲の視線は気にならなかった。