初恋の君と、最後の恋を。
お天気が良く心地よい風が吹く。
デート日和ですねぇ、なんて心の中で先輩に問い掛ける。先輩にとってはただの買い物なのだけれど。
「俺は白が好きなんだ。あまり参考にならないね」
「白ですか?…あ、ここです」
路地裏にある雑貨店の扉を先輩が開けてくれた。
程よい空調の店内はお洒落な小物で溢れていた。
「先輩らしいですね。落ち着いてて」
「君は?」
黒瀬先輩にとっては何気なしに、会話の流れとして聞き返してくれただけだろうけれど。
私に興味を持ってくれたことが嬉しい。
「私は青ですかね。気付いたら部屋のカラーも青になってて」
「確かに俺の部屋も白が多いかな」
黒瀬先輩の部屋はきっと整理されてて、無駄なものがないのだろうな。
「へぇ、行ってみたい」
何気なしに発した言葉に、店内を見渡していた先輩が振り返った。
ワンテンポ遅れて、大胆な発言に気付く。
好きな異性の家に上がるって。特別な意味があるように思うよね…。