初恋の君と、最後の恋を。

雅美から視線を外して相馬先輩は使い古された通学バッグから、雑誌を取り出した。


「ここに行こう!」


開かれたページを覗き込む。


"オススメデートスポット"とポップな文字で書かれたページには大きなハートのイラストが描かれていた。


「カップルだと割引があるんだって!」


無邪気な笑顔を浮かべた相馬先輩はページ中央のジェラート専門店を指差した。



「いやぁ、ちょうど男女2人ずつだしさ!行くしかないしょ」


黒瀬先輩は苦笑していたが、何も言わなかった。

ジェラートは好きだけど。
カップル割引っていったいなによ?


「雅美ちゃんは行くよね」


明後日の方向を向いている雅美に同意を求めた相馬先輩だけれど、きっと足蹴りでもされるだろうと予想していた。


それなのに。
雅美はこくりと頷いたのだ。


「あれ?雅美、アイスそんなに好きだっけ?」


「別に」


「じぁなんで行くなんてーー」


「さささ、話は後でゆっくりね!」


割り込んできた相馬先輩に腕を掴まれ、仕方なく歩き出す。


相馬先輩の両手に捕まった私たちの後ろを黒瀬先輩が歩く。


まぁ、いいか。


黒瀬先輩と出掛けられるのであれば、例えそこがデートスポットでもいいよね。


< 86 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop