初恋の君と、最後の恋を。
雅美から視線を外して相馬先輩は使い古された通学バッグから、雑誌を取り出した。
「ここに行こう!」
開かれたページを覗き込む。
"オススメデートスポット"とポップな文字で書かれたページには大きなハートのイラストが描かれていた。
「カップルだと割引があるんだって!」
無邪気な笑顔を浮かべた相馬先輩はページ中央のジェラート専門店を指差した。
「いやぁ、ちょうど男女2人ずつだしさ!行くしかないしょ」
黒瀬先輩は苦笑していたが、何も言わなかった。
ジェラートは好きだけど。
カップル割引っていったいなによ?
「雅美ちゃんは行くよね」
明後日の方向を向いている雅美に同意を求めた相馬先輩だけれど、きっと足蹴りでもされるだろうと予想していた。
それなのに。
雅美はこくりと頷いたのだ。
「あれ?雅美、アイスそんなに好きだっけ?」
「別に」
「じぁなんで行くなんてーー」
「さささ、話は後でゆっくりね!」
割り込んできた相馬先輩に腕を掴まれ、仕方なく歩き出す。
相馬先輩の両手に捕まった私たちの後ろを黒瀬先輩が歩く。
まぁ、いいか。
黒瀬先輩と出掛けられるのであれば、例えそこがデートスポットでもいいよね。