今夜、シンデレラを奪いに 番外編
「ごふっ…………理緒さん何を」



おっとりとした人かと思えば、全く想像つかない返事。夏雪の暴言を何も気にしてないのも恐ろしい。


「そうですか…………それは積極的で何よりです。

しかし女性にはバイオリズムがありますから、特に集中すべき期間が存在するのは確かでしょう。

こちらに生理予定をご連絡頂ければ、全力でサポート致しますので」



…………だめだ、こいつ変態だった。


「可能であれば日々の体温なども」と付け加えて、嬉々として連絡先を理緒さんに手渡している。目的のためには手段を選ばないとはいえ、人様の婚約者に何を聞いてるんだ。


「………サポートって何する気なの?」


「決まっています。排卵期に高柳さんの残業を止めるのです。」


混じりっ気ない本気に私はドン引きしたたけど、理緒さんは小さく首を傾げるだけだった。



「気を使って頂かなくても、お互い忙しい時には会社でしていますから大丈夫でございますよ?」


「げふっ…………」




やめてー



知りたくない。
知りたくない高柳さんのそういうのっ!


夏雪も変態だけど、理緒さんの返事はそれ以上だっ


っていうか高柳さん、あんな怖い顔で仕事しておいて会社で何してんですかもうっ!!


理緒さんの全く悪びれないカミングアウトに、夏雪もさすがに頭を抱えている。


「…………会社で…………あなたがたはいつもそのようなことを?」


「はい、思い立った時にした方がいいって宗一郎さんも言ってくれますし。」


「高柳さんまで…………一体何を言って…………。

そもそも田中さんは全面的に奥ゆかしいのに、なぜ性に関してだけ赤裸々なのですか」


その時、丁度高柳さんが帰ってきた。


「お帰りなさい」と喜ぶ理緒さんだけど、私と夏雪はじとーっとした視線を向けることしかできない。


「あれ?二人とも早かったんだね」
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