伝説に散った龍Ⅰ
何せ可愛い。
それも、言葉では言い表しようのない可愛さだ。
例えるならば
この世の万物を支配する邪悪な帝王のもとに生まれた
心優しく儚い一人娘
父が支配するこの世のすべてを、今にも救い出してしまいそうな。
そんな感じ。
「芹那ちゃん、明日私とカラオケ行かない!?」
「うん、いいけど」
「やーったやったー」
「またなんで急に」
「さっき思いついたのお」
ーーえへへ、と伊織は笑う。
それはどこからどう見ても屈託のない、純白の笑み。
ーー“善良な心”。
彼女にはその表現が一番合っていると感じる。
長いこと一緒にいる私がそう感じるのだからきっとそれは正しい。