伝説に散った龍Ⅰ
「ーーええ、黒板に書くのは時間がかかるので口頭で紹介します
左から、観月 柚くん、観月 桃くん
ふたりは見ての通り双子です
えー、そして近藤 爽くん。
最後に
本郷 烈くん
皆仲良くしてやってなー」
担任が矢継ぎ早に話をしたおかげで教室内は一瞬、シーンと静まり返ったがそれも一瞬のことだった。
ざわつき出す。
男も女も。
いい意味でも、悪い意味でも。
「あーうん、席は角に固めて用意してあるから、わかんないことあったら近くの奴に遠慮なく聞いてくれ」
あーあと、そうだそうだ。
「お前らまだ転校初日だから許すけど、
その、制服イジるのやめてな
短ランも長ランもなしだから。あと本郷、特服みたいの着てっけど、それも明日から無しな」
「…なんでですか」
「一般生徒の前だからあれこれ詳しく聞くのはやめとくけど」
「…」
「ふっつーに暴走族所属禁止なんだわ。高校って
バレたら一発退学だし」
ごもっともだ。
『は?』みたいな顔をしているけれど
こいつら馬鹿なのだろうか。全員。
「まあーその特服はただのおしゃれってことにしとくよ」
なんて思っていれば、すかさず
「お気遣い感謝します。おいレツさっさと脱げよ馬鹿」
噂の近藤 爽が、柔らかい物腰で助け舟を出した。
「まあいいわ」
とりあえず座って。
先程まで彼らにこれでもかと凄んでいた担任も、近藤の意図を知ってか知らずか鼻で笑って彼らをいなした。