愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜
「…怪我はなかった?」
そう問いかけると、小さく頷いた。
「そっか、良かった。怪我したら痛いもんね」
声に出して返事はしないが、小さく頷く。
…なんとなく、自分と似ているように感じる。
「結芽ちゃん、カフェとか好き?」
そう問い掛けると、首を傾げた。
中学生ぐらいなら、まだカフェとか行かないか…
「そっか。私、あの踏切の近くのカフェにいるの。良かったら、今度おいで。さっき、私の隣にいた圭吾…いや、お兄さんもいるから」
そう言っても、結芽ちゃんは何も返事をしなかった。
しばらくすると、圭吾くんと結芽ちゃんのお母さんが一緒に戻って来た。
警察官の人は先に帰ったらしく、結芽ちゃんのお母さんは何故か圭吾くんに夢中。
「また、改めてお礼をさせていただきます」
病院の外で深々と頭を下げると、結芽ちゃんとお母さんは帰って行った。