愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜
ライン?メール?
圭吾くんの着信相手が誰なのか気になるー…
って、今はそんなこと気にしてる場合じゃない!
頭を横に振り、本題に戻ろうとする。
今は、結芽ちゃんのことだ。
SNSで拡散されてるってことは、学校の人達にも知られてしまっているってことだよね。
もし今学校に行っていたら、きっと嫌な思いをしているー…
そしたらまた、結芽ちゃんはー…
あの道を選んでしまう。
ドクン。
ドクン。
あの日の出来事が脳裏に過る。
「…っ」
胸が締め付けられる。
「櫻井!」
「!」
圭吾くんの声で、ハッと現実に戻された。
声がした方向に、ゆっくりと顔を向けた。
圭吾くんはカウンター越しに、こっちを見ている。
「今日、結芽ちゃん見てないよな?」
「え…」
ドクン。
「見てないですけど…」
圭吾くんの真剣な表情が、結芽ちゃんに何かあったと思わせる。
「今、結芽ちゃんのお母さんからのラインが来て、結芽ちゃんがまだ学校に来てないって」
ドクン!
「…うそ…」
「朝、学校に行くために家からは出て行ったらしい。けど、学校に来てないって担任の先生から連絡あったって」
ドクン。
ドクン。
まさかー…