愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜




結芽ちゃんは、腕で涙を拭う。

けど、拭っても拭っても涙が次から次へと溢れ出てくる。



「結芽…これ以上頑張れないもん…だから、死にたいって思った。逃げたいって思った。この気持ちわからないでしょ?私の気持ちなんか、誰にもわからない」


涙でぐしゃぐしゃになった結芽ちゃんを、優しく見つめ言った。


「…わかるよ」


私も同じようなことを言った。

【私に味方なんかいらない】

【理解者も、同情も、支えもいらない】

【誰も、私の心に近付かせない】


鍵をかけたはずの心を開けられそうになった時、圭吾くんにそう言った。



「嘘だ!!理解できるわけ…」

「100%は理解できないよ」


「…え?」


反論して、食って掛かってきた結芽ちゃんが止まった。


「私は結芽ちゃんじゃないから、100%は理解できない。けど、いま結芽ちゃんが言った心の悲鳴はちゃんと受け止めたよ。私に出来るのは、手を差し伸べてあげるぐらい…後は、結芽ちゃんが自分で自分を助けるしかないの」


「自分で…自分を助ける…?」


「最後に自分の味方になるのは、自分しかいないの。だって、自分のことは自分が一番よくわかってるでしょ?」



心に鍵をして何も感じないように、誰も私の心に近付かせなかった私には、本当の自分が見えなくなってしまっていた。

そんな私に、圭吾くんはそう言った。




「…そんなこと言われても…わからないよ」



結芽ちゃんは俯いてしまった。



「だって、勉強もできない友達もいない…頑張っても結果がでないー…そんな私なんか、死ぬしかないじゃん」



身体が震えている。


その震えている身体を、そっと優しく抱き締めた。




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