愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜
「…櫻井、帰ろうか?」
「!」
その光景を座ったまま見ていると、先に立ち上がった圭吾くんが手を差し伸べてくれていた。
「…はい」
この手が何度も、何度も私を助けてくれた。
手を伸ばし圭吾くんの手を握ると、立ち上がらせてくれた。
「家に帰ろう、櫻井」
何度も、何度もそう言ってくれた。
「…はい」
何故か涙が出て、返事が小さくなってしまった。
この手を握った時、やっとホッとできたような気がしたから。