好きが伝われ
「お、おいタケオ。大丈夫か」
私の周りにいた男達も、少年の方に加勢に入ろうとする。
「集団リンチですか?警察に通報しますよ?
ていうか…もう通報してるんすけどね?」
そう言って自分の携帯の着信履歴を見せる。
たしかに『110』の番号が。
「僕たしかにここ、1発殴られたんで。」
少年は自らの腕を見せる。
「正当防衛だよな?」
「何言ってんだお前は」
「あなたたちにも1発なら殴らせてやりますよ?どうぞ?」
この状況で挑発…!?
3対1ってほんとにリンチになるじゃん。
そう思っていたのも束の間。
3人の男は一気に少年に殴り掛かる。
私は正直何がどうなってるのかわからなかった。
殴りかかっていった男3人がうずくまってるから。
どういう、こと?
「はい、行くぞ」
少年は私の腕を掴んで歩き出す。
「この辺なら平気か。じゃ気をつけなよ」
「この辺の子?」
少年の歩く方について行く。
なんでついてくるんだこいつという顔で私を見てくる。