暴走族の天使〜紡ぐ言葉を聴きたくて〜
北斗side

くくくっ…面白しろすぎだ

明日の事で不安だろうと思って

気持ちをほぐしてやろうかと

軽くおでこにキスをしたら

顔真っ赤にして…

恥ずかしいのか布団を頭から被って

ふて寝する始末だ

クソッ!可愛すぎだっつの!!

正直予想外の反応で

可愛すぎて抱きしめそうになったが

今はまだやめておいてやるよ

未だ、布団を被ってミノムシ状態の詩に

目を向けて、心の中で呟く

北星との抗争が無事終わったら

俺の気持ちを伝えるか…

その時、詩はどんな反応すんだろうな

鈍感無自覚だから、首を傾げるか

大きな瞳を目一杯広げて驚くか

小さな口を大きく開けてポカンとするか

それとも…

さっきみたいに顔を真っ赤にするか

今からすげぇ楽しみだ

自然と笑顔になれる自分に驚く

今まで俺という人間を暴走族の総長か

俺の家柄、見た目だけでしか

見て貰えなかった俺を

仲間以外で初めて

俺、流川北斗という1人の人間として

見てくれたのは、詩だ

それは俺だけが例外じゃなくて

奏や錬、奈留や冬、星竜の奴等も

口にはしないが詩を特別な存在として

見てる

けど、誰にも渡したくねぇんだ

初めて好きになった女だから…

守りたいと思ったのも

笑顔を1番に見せて欲しいと思うのも

隣にいて欲しいと思うのも

詩、お前だけ…

スースーと寝息を立てて眠る

この小さくて、でも大きな存在の

詩を俺だけのものにしたい…

静かに眠る詩の布団をめくって

そっと後ろから抱き締めて

この温もりをいつも傍で感じられる

存在になりたいと願って

夢の世界に浸った…



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