Smile Again 〜本当の気持ち〜

ゴールデンウィークが過ぎ、初めての定期試験、そして体育祭と順調に、学校生活は過ぎて行き、あの鬱陶しい梅雨を乗り越えればいよいよ・・・あ、その前に、期末試験か。


試験がなければ、学生生活は天国だと言った人が、いるらしいが、同感だ。試験さえなければ、大好きな野球にずっと打ち込んでられるのにな。


そして、やっと期末試験が終われば、夏の予選。全国一の激戦区と言われる神奈川県予選で、全ての高校が打倒明協を旗印に挑んで来る。


先輩達の表情が、グッと厳しくなって来たのがわかる。


ウチのチームの特徴は、最上級生である3年生が、サブに回り、チームの主力は2年生だと言うこと。


特にエースの白鳥徹先輩と、4番の松本省吾先輩は文字通りのチームの大黒柱、両輪だ。


この2人を中心とした甲子園優勝経験メンバーが、ズラリと並ぶ布陣は壮観であり、ウチの高校が自他とも認める本命であることは疑いの余地はない。


その一方、入ってみて意外だったのは、選手層の薄さだ。甲子園連覇効果で、俺達1年生は多いけど、2.3年生はそうでもない。特に驚いたのは、俺のポジションであるキャッチャ－は2年生がいない。


つまりレギュラ－陣は盤石だが、ベンチ入りのチャンスは俺達、新入部員にも十分にあるということで、自然モチベ－ションは高くなった。


そして、俺達のモチベ－ションを上げてくれているもう1つの要因、それは女子からの声援だ。


もちろん、彼女達の関心のほとんどが、松本、白鳥のツ－トップに集中していることはわかってるけど、それでも女子の注目をこれだけ集めた中で、野球をしたことなんて、当然なかったから、やっぱり張り切る。男なんて、そんな生き物だ。


そしてそんな女子の中に、由夏がいる。あいつはもともと野球が好きな子だったけど、クラスメイトの水木悠と一緒に、熱心に通って来る。


そして今のあいつのお目当ては松本さん。学内公認の彼女が、身近にいるにも関わらず、一向に衰えない先輩の人気。すげぇし、うらやましいよ全く。でもありゃ女は惚れるよ、俺が女でも絶対惚れてる。


由夏がいくら練習、見に来てくれても、俺への関心なんてゼロ。もはや幼なじみとしての、関心もあいつの中にはないって言うこと。勝負にならんよ・・・。