ちゃんと伝えられたら
もしかして、坂口さんが日曜出勤した時に会社の近くで一緒に居た女性…?

私は何となく胸騒ぎがして、それをごまかすためにさっき寺本さんが話題に出した覚書のノートをめくり始めた。

「これは…。」

ノートの一番最後のページに鉛筆で走り書きした文字。

-俺は本気であなたを愛しています。いつかここへ来て下さい。-

そしてその下に、寺本さんの住所らしきものが書かれていた。

「どうしました?」

寺本さんは電話先で聞いてくる。

まさか私がノートを見ているとは思っていないだろう。

寺本さんは本気だ…。

私は電話を切ると、そのノートをじっと見つめる。

あのおうちデートの話は真面目に私を誘っていたんだ…。

私は胸が締め付けられる。

寺本さんのその筆跡に嘘はない。

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