ちゃんと伝えられたら
坂口さんはそう言って、唇で私の口を塞ぐ。

「坂口さん…。」

温かい舌を私は口の中で感じる。

「ん…。」

その情熱は段々深くなっていく。

「お互い今度のプロジェクトには仕事も人間関係も触れ回されっぱなしだな。」

坂口さんがやっと私の唇を放した。

「ちゃんとお断りできない事がこんなに苦しい事だとは思いませんでした。しかも寺本さんは本当に良い方で真剣な思いも伝わって来たので、本当につらかったです。」

私はそんな坂口さんの状況を察するように言ったつもりだった。

だが坂口さんの表情はみるみる不機嫌になっていく。

「そんな風に寺本さんを思っていたのか。」

「えっ?」

「道人の事だってそうだ。」

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