ちゃんと伝えられたら
そうか…、やっぱり綾人さんも理由が分からないんだ。

その事にちょっと私はホッとする。

「休み明けには取引会社に行ってくる。志保を戻してもらえないなら、俺もこのプロジェクトは降りる。」

「ダメですよ。仕事はちゃんとやり遂げて下さい。」

私は慌てて言う。

「でもすぐに向こうにも分かるさ。志保が居ないとすぐにこのプロジェクトが滞る事が。だから寺本さんが既に慌てていた。」

綾人さんは思わず笑う。

「お前の作った書類が元になって現場の指示書が作られている。あちらの上層部は直ぐに撤回してくるだろう。」

そんなに凄い事を私は担っていたの?

「山田さんをはじめ、向こうの営業担当は既に動いてくれている。そうしないと自分達の首を絞めるようなものだからな。」

綾人さんは得意げに私を見る。

「だから俺の補佐は志保じゃないともう務まらないんだ。分かっているか?ほかの奴では無理なんだ。」

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