ちゃんと伝えられたら
綾人さんはすっと身体の向きを変えた。

すると寺本さんは私の耳元で囁いた。

「寺本さん…。」

私は耳が熱くなっている事を感じた。

「では次回もよろしくお願いしますね。」

いつもの寺本さんに戻ったような気がした。

「志保は一体寺本さんに何を言われたんだ?」

社用車に戻ると、すぐさま綾人さんに聞かれる。

こういう事はちゃんと見ている人なのだ。

私が黙っていると、しつこく聞いてくる綾人さん。

「志保が何を考えているか分からない時は、俺は聞いても良いんだろう?」

ううっ…、ちょっと面倒くさい。

「坂口さんと何かあったら…。」

綾人さんはビクッと肩を震わせた。

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