ちゃんと伝えられたら
「ああ、それは篠田の為に作ったものだから、しっかり活用してほしい。」

坂口さんが優しく微笑んだ。

どうしたんだろう…、更にドキドキしてきた…。

私は思わずファイルをぎゅっと抱きしめるとうつむく。

顔が赤くなってしまっているのを見られないように。

「そんな顔をするなんて、篠田はずるいな。」

坂口さんのそんな言葉に、ふっと私は顔を上げてしまった。

そこに優しく坂口さんのキスが落ちてきた。

これは…、今日2回目…?

「さっ、移動が終わったら帰るぞ。」

坂口さんはそう言うと、後ろを向いてしまう。

「は…、はい…。」

私は坂口さんの背中にそう答えるので、精一杯だった。








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