ちゃんと伝えられたら
坂口さんはその周辺を整理し始めた。

「坂口さん。」

私が立ち上がったすぐそばに坂口さんが来ていた。

それは私が思っていたよりも近く、私は坂口さんにぶつかる。

「すいません。」

私は思わず顔を上げた。

あまりにも近い坂口さんの顔に私はハッとする。

一瞬坂口さんは顔を逸らす。

私は一歩後ろに下がって、真正面に坂口さんを見る。

私のドキドキが坂口さんに届きませんように。

坂口さんもその距離に安心したようにこちらを向く。

「坂口さん、会議室で頂いた資料は私がずっと預かっていても良いですか?」

私はもらった資料を早速ファイルに綴じていた。

それを胸に抱える。

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