ちゃんと伝えられたら
私は慌てて坂口さんにもらったあの最初の資料を取り出す。

こんなことなら家に持って帰って、もう一度目を通しておくべきだった。

仕事の遅い私は気持ちがすごく焦る。

「…そうか…。あの駅前の土地に期間限定でイベントを仕掛けるんだったよね。それなら大きなプロジェクトになるよね…。」

資料を読みながら、私は段々その内容に引き込まれていった。

これは発注先にプレゼンしたものを、坂口さんが詳しく書き込みをしてあるもの。

会議室で確認した時よりも、もっと奥深い内容が私に響いてくる。

そうあの時は時間が限られていたし、私ももっと緊張していた。

今考えると、あの時は内容の半分も理解出来ていたかどうか疑わしい。

「すごい。」

私はそうつぶやくと、坂口さんのデータをもう一度見直す。

なんだかわくわくしてきた。

私は後ろを振り返ると、必要になりそうな資料を本棚からチョイスする。

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