ちゃんと伝えられたら
私はいつの間にそんなにのめり込んでいたんだろう。

「篠田、お腹が空かないか?」

私がパソコンから目を上げると、正面に坂口さんの顔があった。

「いつ戻られたんですか?」

私の様子に、坂口さんが苦笑いをする。

「戻って来た時に篠田に声を掛けたら、気の抜けた返事だけは帰って来たんだけどな。」

「そうでしたか?」

「やっぱりそういう事か。」

坂口さんはそう言うと、おかしくてたまらないという顔をする。

「俺がずっと篠田の顔を見ていたのも気が付かなかったんだろう?」

「えっ?」

「良い表情していたぞ。でもな、もうそろそろ止めないといけないと思った。」

坂口さんはそう言うと、自分の腕時計を指さす。

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