ちゃんと伝えられたら
「本当に篠田は目を離せない。」

坂口さんはミラーで私の様子を伺っている。

「そう言えば篠田が乗って来た社用車はどの辺に置いてあるんだ?」

坂口さんは冷静にそんな事を聞く。

それが分かればこんなに苦労しない。

少し混乱している私はタオルで顔を隠すしかない。

「篠田、どうした?」

坂口さんの問いかけに返事をすると、涙が出てきそうだ。

「篠田?」

しつこく私の名を呼ぶ坂口さん。

「…すいません、自分が何だか…、なっ、情けなくって…。」

目に涙がぶわっと浮かんでくる。

大雨の中でうろついている姿を見られ、こんな所で泣いたら…。

すると坂口さんは慌てて車から降りた。

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