ちゃんと伝えられたら
しかし…。

「さっ、行くぞ、篠田。」

坂口さんは代金を払うと、さっさと立ちあがる。

「あっ、待って下さい。」

私はにこやかに笑う道人さんに頭を下げると、慌ててその背中を追う。

「また来てね。」

そんな呑気な道人さんの声に送られながら。

「坂口さん。」

さっきは出来なかったけど、今度は違う。

「待って下さい。歩くのが早過ぎます。」

私の言葉にハッとしたように、立ち止まった坂口さん。

「済まない…。」

坂口さんが恥ずかしそうにこちらを振り返る。

私は早歩きで、坂口さんの横に並ぶ。

< 49 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop