ちゃんと伝えられたら
坂口さんはそっと私の肩に手を置く。

「俺が帰社しない日に限って残業が多い。間違いなく10時は過ぎているだろう。」

「それは…、私の仕事が遅いだけの事です。その日に自分なりの予定をこなさないと、次の日にまた新しい指示をこなせません。私なりのペースなんです。」

勢いのままに、坂口さんにはっきりと自分の思いを話した。

でも坂口さんは渋い顔のままだ。

「私の仕事を取り上げないで下さい。」

私は必死に坂口さんに食い下がる。

「これからはもう少し退社時間にも気を付けます。だから…。」

坂口さんは大きく息を吐いた。

「何となくこうなる事は分かっていたんだけどな。まあ、もう少し様子を見よう。」

坂口さんは諦めたような表情を私に投げかける。

私はほっと胸をなでおろす。

「篠田、今度の日曜日は何をしている?」

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