ちゃんと伝えられたら
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出来ればドライブの前日の土曜日は半日出勤で済ませたい。

そんな思いに捕らわれた私は黙々と書類作成をこなしていた。

やっと要領もつかめるようになってきて、残業時間も1時間ほど減って来た。

坂口さんとのドライブの事を考えるとドキドキする反面、仕事が効率的に進む。

自分にとって些細だけど、新しい発見だ。

今の私にとって、それほど坂口さんの影響は大きい。

もう坂口さんを怒らせてばかりいた頃と私達の関係は明らかに変わって来た。

坂口さんは私の考えも聞いて、良ければどんどん取り入れてくれる。

今、新しい書類は私の考えたレイアウトを尊重してくれる。

久しぶりに沢野さんのデスクのそばを通った時だった。

「頑張っているね、篠田。」

沢野さんに話しかけられた。

私はふっと足を止める。

「課長も喜んでいたよ。一つ壁を乗り越えたようだなって。」

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