ちゃんと伝えられたら
「いいえ、そんな事は気にしないで下さい。それより…。」

寺本さんは私をチラリと見ると、坂口さんに合図を送る。

「私は篠田さんとゆっくりお話をする時間を頂きたいのですが、どうですか?」

こんな気分で私も何とも返事する気にならない。

「すいません、その件はまた…。」

私は言葉尻を濁して、やっと片づけを始める。

「ではせめて連絡先だけでも交換させて下さい。これから仕事上でも必要になるかもしれませんから。」

ただの事務の補佐にそんな必要があるとは思えない。

会社に連絡を取ればいいのだから。

しかしこう言われてしまうと、無下に拒否も出来ない。

お願い…、坂口さん…。

私は四面楚歌になった気分で、心で念じる。

「寺本さん、すいません。私のスマホに会社から篠田しか分からない用件の連絡が来ているようです。申し訳ないのですが、すぐにでもここをお暇したいのですが。」

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