ちゃんと伝えられたら
「それから俺の行動はどんどん自制が効かなくなっていった。」

私は曖昧にうなずく事しか出来なかった。

きっと何度かのキスの事を言っているんだろう。

「本当に済まなかった。篠田が何も抵抗しないから…。」

私はそっと坂口さんを見る。

「いい気になっていた。だからこのプロジェクトの補佐も強引に決めた。単純に手の届く場所に居て欲しかったからだ。でも仕事ではちゃんとけじめをつけないといけないと思って平静を装ったつもりだ。」

初めて聞く坂口さんの気持ち。

「せっかく篠田と出掛ける約束を取り付けたと思ったら…。寺本さんからあんな事を頼まれるとは思ってもみなかった。」

私は自分が真っ赤になって、この胸のドキドキが坂口さんにも聞こえていないか気になっていた。

後ろの車にクラクションを鳴らされた。

話をしているうちに、信号が青になってしまったようだ。

坂口さんは慌てて車を発進させた。

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