ちゃんと伝えられたら
そして私の顔を覗き込む。

「こんな俺でも良いか?」

こっくりとうなずく私。

私達は目が合うと、二人で思わず声を上げて笑ってしまった。

雨が二人の笑い声を上手に消してくれていた。

今度は触れるか触れないかのキスを坂口さんは私にした。

坂口さんは車に戻ると、鞄を下ろして私のところに持ってきた。

「今度の初デート、楽しみにしているから。」

振り向きもせずに車に戻る坂口さん。

私はその背中が頼もしく…、そして愛おしく思えた。









< 80 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop