教育係の私が後輩から…
畦道を歩くこと20分。
痛い‥‥
なんで今日に限って新しい靴履いて来たかな!?
「先輩大丈夫ですか?」
「うるさい!
私の事は良いから、前を向いて歩け!」
「乗ってください。」
腰を落とし背中に乗れと言う誠一郎。
「自分で歩けるから大丈夫!」
「新しい靴は慣れないと痛いでしょ? こんなとこで意地張っても仕方ないですよ? 少しくらい僕に甘えてください?」
気づいてたの?
いつから…?
怪我の時といい、誠一郎はよく私を見ててくれてる気がする。
「さっさと乗らないと担ぎますよ?」
「わ、分かったわよ…」
仕方なく彼におぶられはみたが、さすがに恥ずかしい。
「やっぱり…私重いから降りる…」
「全然重くないですよ?
先輩はもう少し太っても良いと思います。
最近昼休憩もまともに取ってないでしょ?
ちゃんと休憩は取って貰わないと、
ブラック企業になりますから?」
資料課のデーターを作る為に、最近は昼休憩も惜しんで、旧社屋へ足を運んでいた。
その為、昼食はコーヒーだけで済ます事が多かった。最近、夜もお酒だけで、殆んど食べていない。元々料理の苦手な私は、家ではまったく作らないのだ。
「そうね?
あなたの会社がブラックになっては
困るわよね?」
勘違いしそうだった。
私を気に掛けてくれてると勘違いしたら、後で馬鹿を見る。
この人はうちの会社の御曹子で、来春にはキクさんから彼へ代替りする。
ブラック等と噂になれば大変なことになる。彼の叔父である専務が、彼を蹴落とそうとしてるのに、私の行動ひとつで、専務の手助けになりかねない。
「私は訴えたりしないから、心配しないで良いわよ?」
「いえ、僕は純粋に貴女を心配してるんです。」
「そう。それは有り難う。」
彼の気持ちは素直に嬉しい。
私は頬を緩ませていた。
顔が見えなくて良かった…
「先輩!僕は本当に…」
「分かったから、黙って歩くか、私を下ろすかして!」