教育係の私が後輩から…

小林総合病院長のお嬢さんとの婚約話が有るにも関わらず、誠一郎は平日だけは、毎晩私の家に一緒に帰ってくる。

「今夜も家に行って良いよな?」

「ダメって言っても来るんでしょ?」

「今夜は鍋にするか?」

「鍋…?」

「冷蔵庫に残ってる野菜片付けてしまいたいし、鍋に合う美味しい冷酒を貰ったからな?」

あんたは主婦か!?
でも冷酒か…

「美味しいお酒が飲めるなら、なんでも良いや?」

誠一郎の婚約話しから一ヶ月。誠一郎は、良い酒が手に入ったと言っては、ほぼ毎日、うちに食事を作りに来る。

「婚約者放っておいて良いの?」

「ああ、彼女とは週末だけしか会わない。 それも、互いの時間稼ぎの為だがな?」

時間稼ぎ…
相手のお嬢さんには、既に心に決めた人が居るらしく、お互いの親を説得する為に、偽装婚約という形にしてるらしいが、誠一郎の良さを知ったら、お嬢さんの気持ちも変わる可能性だってある。

誠一郎だって…

「俺が愛してるのは宣美だけ。勿論、結婚も宣美としかしない。から余計な事考えるなよ?」

5つも年上の私に真っ直ぐ愛をぶつけてくる誠一郎に、気がつけば絆されて、今に至る。

食事を済ませた後、帰れと言っても、帰らず、誠一郎はいつも泊まって行く。

「宣美のバージンは俺が無理やり奪ったけど、セカンドバージンは、宣美も俺を受け入れてくれて、マジ嬉しいかったし、これから、セックスの良さも、愛される喜びも、全て俺が教えてやるからな?」

「………」

「心配するな。気持ち良くするだけだ。」

経験の少ない私は、意識を飛ばす事がいまだに怖い。誠一郎は、いつか私の側から居なくなる。そんな事は初めから分かってる。
だが、私の身体は次第に熱に支配され、誠一郎の腕の中で幸せの空間へと飛ばされる。

そんな私を、誠一郎は何度も壊れ物を扱う様に抱いてくれる。
それは私に経験が少ないからだと思う。

「大丈夫か?」

「…うん…大丈夫…」

私が苦しそうにしてると、必死に労り、キスをしてあやしてくれる。

ただ、沢山キスをしたいだけかもしれないけど、
でも…悪くない。

彼のキスは、凄く気持ち良い。
上手いとか、どうとか私には分からないけど…

この歳まで、男の人とのキスなど、経験もなかったのだから。

いつか…
その日が来た時、私はこの人から離れる事が出来るだろか?




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