教育係の私が後輩から…

「分かりません…
でも、違うとも言えない自分がいます。
家柄や、育った環境が違えば、価値観も違うじゃないですか?
そしたら、戸惑いや不安を感じる様になるでしょう?
いつか、余計な事で疑心暗鬼になって、″愛されてる?″って不安を感じるようになるかもしれない。
でも…若い彼は、若気の至りで、やり直すこともできるでしょう?
でも、女の私は若気の至りで済む歳じゃ無いですよね?
何事も釣り合いと言うものは大事だと思うんです。
そう思いませんか?」

「………」

「答えないって事は、専務もそう思うんですね…?」

「難しいと思ってね?」

「そうです。 難しいです。
人間って、少なからず、自分の気持ちを押し付ける生き物じゃないですか?
自分の気持ちを分かってくれなかったり、汲んでくれなかったら、次第に愚痴も多くなり、相手を責め始める。いつか “こんなはずじゃ無かった” なんて思うようになって…私の両親みたいに、別れる事になるかもしれない。
だったら、仕事に生きるか、分相応の人と結婚した方が良いんじゃないかって思います。」

私…なんでこんな事まで
専務に話してるんだろう…

「辞めるにしても、まだ時間あるから、よく考えたほうがいい。退職は、通常一ヶ月前には、会社に意思を伝えるものだからね?」

通常ですよね…?

「あっそうだ! コーヒー飲んだ後は、歯を磨いたほうがいいですよ? コーヒーの味のするキスは、僕は好きじゃない。」と、言うと、専務はニッコリ笑って戻って行った。

大きなお世話よ!?
あんたとなんか二度とキスしないから!!

でもどうして?
専務が…?




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