幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
「晩ご飯……食べてきたんじゃないの?」
わたしがそう聞くと、榛名くんは箸を止めずに答えた。
「んー、軽く食べただけ」
「そ、そっか」
やっぱり心のどこかで気になってしまうのは、こんな遅くまで誰と一緒だったのか。
さっきの甘い香水の匂いが、鼻に残ったまま消えない。
「ひなは食べた?」
「……うん、1人で食べたよ」
そのまま、会話は途切れてしまった。
鍋に残っていた肉じゃがは全て榛名くんが食べきった。
すると、榛名くんがわたしのほうに近づいてきて、ひょこっと顔を覗き込んできた。
「っ……な、なに?」
思わず身体を後ろに下げてしまった。
甘くどい匂いが、鼻をかすめるたびに、
なぜか胸が苦しくなる。
「さびしかった?」
「……え?」
「なんかさびしそーな顔してたから」
「っ……」