幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



「んで、返事はしたの?」

「し、してない……」



楓くんに告白された日。

結局、あれから楓くんは私に何もしてくることはなく、気まずい空気のまま別れてしまった。



たぶん、いきなりのことについていけていないわたしに気を使って、何も言ってこなかったんだと思う。


もし、無理やり答えを迫られたらわたしは逃げ出していたと思う……。


きっと、楓くんはそれをわかっていたから。
だから、無理に答えを求めてはこなかった。


だけど、最後にひと言だけ……。

「もうただの後輩じゃないですから」


そう言われたのは、今でも頭に鮮明に残っている。



「立川くんはたぶん焦ってるんだろうね」


杏奈の表情を見ると、1人だけ全てを理解したように、納得しながら首を縦に振っていた。


「……焦ってる?」


「雛乃を榛名くんに取られたくないから」

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