限りない愛~甘い彼に心揺れて~
私はぬるくなった残りのコーヒーを飲み干して、視線を床に落とした。

大ちゃんが「どうした?」と私が持っていた空のカップを取り上げる。優しい声なのに顔はあげれないし、返事をする気力もない。

短時間で浮き上がっていた心は沈んだ。

このまま大ちゃんとの時間が増えても、苦しくなるだけ。もう帰ろうかな。

ゆっくりと顔をあげるが、大ちゃんを見れなくて、私の視線は床からテーブルへと移動しただけ。彼の顔を見ないで、口を開く。


「私、帰る」

「えっ? 真帆、どうして……」

「私、大ちゃんが好きだから一緒にいると辛くなるの。ごめん、帰るね」


立ち上がって、バッグを掴もうとするが、背後から大ちゃんに抱き締められて掴めない。

彼の慌てた息遣いが聞こえる。


「真帆っ! 突然どうしたんだよ?」

「大ちゃんが好きだから、ずっと一緒にいられるなら嬉しいと思ってたの。でも、大ちゃんは同じ気持ちではないから、一緒にいるのが苦しくて、今日はもう帰りたい……だから、離して……」


大ちゃんは私の体を自分の方に向かせた。おずおずと彼の顔を見る。焦っているというか困った顔をしている。
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