限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「では、私は戻りますので、なにかあればいつでも言ってください」

「豊川さん、ありがとうございました」


目を細めて、出ていく豊川さんは私たちに気を使ったようだった。豊川さんがどこまで知っているのかは分からないが、社長や会長に私のことを伝えたのだから、そのことは耳に入っているかもしれない。

再び二人だけになった部屋は静かで、ジャスミンティーを飲むのに鳴ってしまう喉の音が恥ずかしくなる。

大ちゃんはいつまで私を見ているつもりなのだろう。まだ感じる視線をたどれない。

ゆっくりではあるが、飲み終えたカップをテーブルに戻すと、大ちゃんの手が頬へと伸びてきた。


「顔色がよくなった気がする」

「そう? でも、大ちゃん」


二人だけになったから、オフィス内ではあるけれど、『大ちゃん』と呼ぶ。彼は頬を緩ませて「ん?」と微かに甘い声で訊く。

ここがオフィス内であることを忘れてしまいそうだ。ジャスミンティーの香りが充満しているせいもある。
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