限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「いいえ、大丈夫ですよ。今日は専務が休んでいるので時間には余裕があります」

「ありがとうございます。専務はお休みなんですね」


自分の前に置かれたポットから、カップへとジャスミンティーを注ごうと手を伸ばすが、先に大ちゃんがポット持った。

手を延ばした先の物がなくなり、私の手は虚しげに空を切る。


「俺が注ぐから」

「あ、ありがとう」

「副社長は宮坂さんに甘いのですね。宮坂さん、お疲れと聞きましたが、大丈夫ですか?」

「えっ? いえ、それほど疲れてはいないんですけどね」


知らぬ間に疲れているという話になっていたようで、具合が悪くなるほど疲れてはいないから、恐縮する。

大ちゃんが大げさに言ったと想像できる。


「はい。熱いから、気をつけて飲んで」

「ありがとうございます」


注ぎ終えたカップを大ちゃんに渡され、受け取ったそのカップに軽く息を吹きかけた。

リラックス効果のある香りが鼻腔をくすぐる。しかし、横から感じる視線に緊張してしまう。

リラックス出来そうなのに、出来なくなる。
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