限りない愛~甘い彼に心揺れて~
心配性の大ちゃんは再度大丈夫かと聞いて、リビングへ戻っていった。長湯するとまた心配されるから温まったところですぐに出る。

バスタオルで体を拭いていると、今度は脱衣ルームのドアがノックされる。慌てて、バスタオルを前に当てて「はい」と答えた。落ち着かないな。


「出た? 開けてもいい?」

「ダメ! まだ何も着てないから」

「じゃあ、すぐにバスタオル巻いて」

「すぐに? はい」

「巻いた? 開けるよ」


とりあえず巻いたけど、巻いただけでは心もとない。はらりと落ちたらあられもない裸を見られてしまう。太ももの上の方しか隠れていないから、屈んでしまったらお尻が見えてしまう。

何をどう頑張ってもバスタオル一枚では、勝ち目がないではないか。

ドアを開けた大ちゃんは項垂れる私を見て、「どうした?」と別のタオルで頭を拭いた。


「負けた気がして……」

「は? 何に?」

「こんなバスタオル一枚だけじゃ、頼りなくて」


大ちゃんは私の言葉に拭いていた手を止めて、大笑いした。何で笑うの?


「真帆、そこは負けたじゃなくて、恥ずかしいというところじゃないの?」
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