限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「ん? 真帆、どうした?」


動かない私の顔を不振に思った副社長が覗きこんできた。近付く副社長に驚いて、ソファの背もたれに背中をぶつける。


「なんかそんなふうに避けられると困るんだけど。さっきのことはなんだったのかなって」

「さっき……」


私は自分の口に手を持っていく。自分のやるべきことに集中しようとしていたのに、さっきのことが瞬時に思い出される。

まだ唇に感触がしっかりと残っている。副社長のキスはあたたかいというより熱かった。


「忘れてはいないみたいだね」

「ついさっきのことだし、忘れません……。だけど、今は会社だし、やることがあるから」

「うん、そうだよね。困らせるようなことして、ごめん。早く終わらせて、帰ろうな」


副社長は優しく私の頭を撫でて、自分のパソコンと向き合う。きっと私よりも切り替えが早い。

私もちゃんとやろう。

横から聞こえるキーボードを叩く軽快な音につられるよう、私もキーボードを叩き始めた。副社長の隣は不思議と心がホッとする。

子供の頃のように安心できる隣だった。
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