蜜月は始まらない
それから少しして戻った華乃と協力し、無事弁当の中身をすべて平らげることに成功する。

腹がこなれるまでのんびり日光浴に洒落込んだのち、今度は公園内にあるミニ動物園へと向かうことにした。

思っていたよりも広いそのエリアには、ウサギやヤギ、ポニーやクジャク、タカやワシの猛禽類に加えアルパカまでいる。

華乃は中でも、実際に触れることができるウサギのコーナーに夢中だった。



「ふわふわ……あったかい」



アニマルセラピーだねぇ、と華乃はニコニコ笑っていたが、俺はそんな幸せそうに緩んだ顔でウサギを撫でる彼女の姿に癒された。

かくいう俺といえば、ウサギたちにビビられっぱなしだったが。

なぜか昔から、小動物にはたいてい引かれがちだ。

今回も柵の内側に入って来た俺を見るなり、ウサギたちはジリジリと距離を取り始めた。

俺自身は動物は嫌いじゃないから、この反応はだいぶ切なかったりする。



「うーん、錫也くん身体が大きいからかなあ……おーい、こわくないよ~優しい人だよ~」



仲良くしようと近づきたくとも、ビビられるものは仕方ない。

情けなくも出入口付近で立ち尽くす俺に苦笑し、華乃が周りのウサギたちに呼びかけた。

ウサギに警戒されて近づけないことは虚しいが、彼女にそんなふうに言ってもらえるのは悪くない。
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