蜜月は始まらない
なんだかもう懐かれないのがどうでも良くなるくらい気が晴れた俺は、華乃とウサギたちの和やかな触れ合いを見守ることに徹しようと決める。これでも充分飽きないし。
なんて思っていたら、華乃が1番おとなしそうなウサギを見つけてきて、俺の手にそっと抱かせてきた。
ウサギも俺自身も最初はビクついていたが、その灰色の背中の毛におそるおそる触れてみると、意外にもされるがまま撫でさせてくれる。
思わずホッと息を吐いて頬を緩める俺を、華乃の方がうれしそうに見上げていた。
「ありがとう、華乃」
「ううん。錫也くんが、優しいからだよ」
ああ、こういうところだ。
彼女のこんなところを、たまらなくいとしく思う。
ミニ動物園を離れ緑に囲まれた遊歩道を歩きながら、左隣で揺れる華乃の手を取りたい衝動に駆られた。
名目上は、婚約者の俺たちだ。手を繋いだって、なんの問題もないはず。
けれども彼女の気持ちを考えて踏み出せずにいると、舗装された地面にあった石につまずいた華乃が「ひゃっ」と声を上げた。
とっさに腹のあたりへ腕を伸ばして抱きとめ、なんとか転ばずに済む。
朱の差す顔でお礼を言う彼女を見て、好都合とばかりにその小さな手を掴んだ。
なんて思っていたら、華乃が1番おとなしそうなウサギを見つけてきて、俺の手にそっと抱かせてきた。
ウサギも俺自身も最初はビクついていたが、その灰色の背中の毛におそるおそる触れてみると、意外にもされるがまま撫でさせてくれる。
思わずホッと息を吐いて頬を緩める俺を、華乃の方がうれしそうに見上げていた。
「ありがとう、華乃」
「ううん。錫也くんが、優しいからだよ」
ああ、こういうところだ。
彼女のこんなところを、たまらなくいとしく思う。
ミニ動物園を離れ緑に囲まれた遊歩道を歩きながら、左隣で揺れる華乃の手を取りたい衝動に駆られた。
名目上は、婚約者の俺たちだ。手を繋いだって、なんの問題もないはず。
けれども彼女の気持ちを考えて踏み出せずにいると、舗装された地面にあった石につまずいた華乃が「ひゃっ」と声を上げた。
とっさに腹のあたりへ腕を伸ばして抱きとめ、なんとか転ばずに済む。
朱の差す顔でお礼を言う彼女を見て、好都合とばかりにその小さな手を掴んだ。